狂犬病でノルウェー女性死亡!日本で感染する?ワクチン接種で免疫は?

5月11日、とても痛ましいニュースが飛び込んできました。。。

24歳のノルウェー人女性が、休暇で訪れていたフィリピンで助けた子犬にかまれ狂犬病により今週亡くなったのです。

「狂犬病」その病名を一度は耳にしたことがあるのでは、と思います。一体どのような病気なのでしょうか?また、狂犬病は日本でも感染することがあるのでしょうか?感染するとしたら、ワクチン接種が必要なのでしょうか?

今回は『狂犬病でノルウェー女性死亡!日本で感染する?ワクチン接種で免疫は?』と題しまして、狂犬病について詳しく記事にしたいと思います。

ノルウェー人女性が狂犬病で死亡した経緯

ノルウェーの病院に勤務していたビルギッタ・カレスタッド(Birgitte Kallestad)さんは2月、友人たちと休暇で訪れていたフィリピンでオートバイに乗っていた際、道端で「寄る辺のない」子犬を発見

 カレスタッドさんの遺族は9日、「ビルギッタは子犬をかごの中に入れて連れ帰った。体を洗ってあげ、世話をすると、うれしいことに子犬は回復し始めた。滞在先のリゾート施設の庭で子犬と一緒に遊んでいた」と説明。「その後しばらくすると、子犬は他の子犬がそうするように、ビルギッタたちをかもうとし始め、一緒に遊んでいる最中に彼女たちの指をかんだ」と述べた。

 カレスタッドさんは帰国後、体調を崩し、自身が勤める病院で集中治療を受けた。だが6日夜、この病院でカレスタッドさんは息を引き取ったという。

 遺族によると、カレスタッドさんと友人らのグループは誰も狂犬病の予防ワクチンを接種していなかった

AFP BB NEWSより

これは、、、、とてもつらいです。亡くなったお嬢さんはきっととても心優しい方だったのでしょう。

ただ、海外という「自分の常識範囲を超えた場所」では、いつもなら「安全」な行為が「安全ではない」ということ、それを失念してしまった(予防接種を打たなかった、子犬に安易に近づいてしまった)。ただそのことが残念でなりません。。。。

ノルウェーの女性を襲った狂犬病、それは一体どんな病気なのでしょうか?

ノルウェー女性が死亡した狂犬病とは?症状は?生存率は?

「狂犬病」とは?

狂犬病は”狂犬病ウイルス”に感染することで起こる感染症です。狂犬病ウイルスに感染した動物に咬まれたり感染した動物の唾液とヒトの傷口が接触(傷をなめられるなど)したりすることで感染します。

に咬まれて感染するケースが全体の9割以上とされますが、狂犬病ウイルスは犬以外の動物からも確認されています。たとえば、アライグマ、スカンクス、キツネ、コウモリなどの「野生動物」に咬まれることでも感染が成立します。

狂犬病の感染後から症状が出るまでの「潜伏期間」は1か月~3か月といわれていますが、早ければ数日、長い場合は1年以上のケースもあります。

初めは噛まれたところがピリピリする、痛い、などの感覚異常が見られます。

その後、発熱・頭痛・筋肉痛・悪寒などの症状が現れ、数日から1週間程度続きます。

病状が進行し狂犬病ウイルスが増殖して神経系に侵入すると、興奮、意識障害、錯乱、幻覚などの神経症状が起こってきます。
特に「狂犬病」特有の症状として

恐水症:水を飲むことを恐がる、水が恐くて手が洗えない
恐風症:空調の風などを嫌がる

があります

その後、数日の経過で全身けいれんや不整脈が起き、全身の臓器に障害が起こり、最終的に死に至ってしまいます。

狂犬病の治療法は?

残念ながら今現在、狂犬病は「一旦発症してしまうと治療法はありません」

発症してしまうと生存率はほぼ0%、言い換えると死亡率ほぼ100%のとても恐ろしい感染症なのです。

狂犬病は毎年世界中で約5万人の死者を出しており、その多くはアフリカとアジアです。

よって、絶対に「感染しないこと」、もし感染が考えられる事態が今後あるのであれば必ず「予防接種を受けておくこと」、万が一予防接種を受けていないのに噛まれたら「発症する前に即行動(受診)を起こすこと」が大切になってきます。

日本で狂犬病に感染する可能性は?予防接種は?

こんなに恐ろしい感染症である「狂犬病」。私たちが日本にいて感染する可能性はあるのでしょうか???

答えは「今のところ日本にいる限り、感染の可能性はありません」

日本では、1950年に制定された狂犬病予防法により飼いイヌの登録とワクチン接種、徹底した野犬の駆除により、世界的にも稀有な狂犬病の無い国になりました。事実、昭和32年(1957年)の猫による発生を最後に、「狂犬病」の発生例はありません。

日本国内に現在狂犬病の犬はいないため、日本で犬に噛まれたとしても狂犬病の心配はないので安心してください。

ただし、海外へ渡航するとなると話は変わってきます。

基本的に「先進国」へ行く人や「あまり咬まれるリスクのない」人は、渡航前にワクチンを打つ必要は基本的にはありませんが、世界的に見て「完全に狂犬病を排除できた」とされる国はたったこれだけ↓しかありません(青色の国)。

なので、たとえ危険度の低い国に旅行に行ったとしても、むやみに野生の動物(たとえそれが可愛い犬だったとしても)に近づいてはいけません。

渡航前に予防接種(ワクチン)を受ける方法もありますし、ワクチンを打っていない場合でも噛まれたら発症するまでに一刻も早くワクチン接種する方法もあります。

どうか、日本以外ではこういう危険もあるのだと頭の片隅において、万が一何かがあれば手遅れになる前に即行動に移さなければならないと覚えておいてください。

予防接種の免疫はいつまで?

また、残念ながら狂犬病ワクチンによる免疫「一生涯続くものではありません」

例えば旅行前にワクチンを打つとなると、

0日(受診初日):狂犬病ワクチン1回目を接種
7日:2回目を接種
21又は28日:3回目を接種

したあと、追加接種として

1年後:4回目を接種
以後5年毎:1回接種

というかたちで受け続けていかなければ免疫はいずれ消失してしまいます。定期的に渡航される方は、かならず予防接種の追加接種を忘れないようにしてください。

まとめ

今回はとても痛ましい話題について記事にしました。

日本にいるとどうしても安心して気が緩みがちですが、場所が変われば対応も変えなければならないことを、改めて考えさせられました。

ノルウェーの女性の方のご冥福を心より祈りたいと思います。。。。