大人の麻疹(はしか)は重症化しやすい?症状は?ゴールデンウィークに注意することは?

3月後半に、沖縄県への旅行者にはしか(麻疹)が確認されて以降、感染が拡大して4月25日までに県内で70人超に上っています。
また4月中旬には、沖縄に行った名古屋市の男性がはしかと診断され、愛知県でも数名の感染者が確認されました。

このようなニュースがテレビなどで頻繁に取り上げられるようになり、大人のひとりとしても、子を持つ親としても、中高年の親を持つ娘としてもとても心配しています。。。

今回は、いま巷を悪い意味で賑わしている『麻疹(はしか)』について記事を書きたいと思います。

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麻疹(はしか)ってどんな病気なの?

麻疹(はしか)は麻疹ウイルスによっておこる感染症で、人から人へ感染します。非常に感染力が強く、空気感染・飛沫感染・接触感染の経路で感染します。

感染力が強力な上に空気感染をしてしまうので、たとえば同じ電車の車両の離れた場所に感染者がいるだけでも、なんだったらただすれ違っただけであっても、自分も感染してしまうという可能性が十分考えられるほどです。

麻疹(はしか)のウイルスは潜伏期間が長く(約10~12日間)、初期症状が風邪によく似ている(38度程度の発熱、咳くしゃみ鼻水、目ヤニや目の充血など)ため、感染した本人も麻疹に気付く事なく、結果的に感染を広げてしまうという事態を引き起こしてしまいます。

最初の風邪に似た症状が少し落ちつく前後に、ほほの内側に小さな白い斑点(コプリック斑)がみられ、再び熱が上がるという発熱パターンがみられるのが麻疹の独特な特徴です。再発熱とともに顔から身体へと赤い発疹ができはじめ、数日は高熱が続きます。目が充血し咳も激しくなります。

やがて症状が落ち着きはじめますが、発疹跡は黒ずんだ色素沈着となりしばらく残ります。合併症のないかぎり7~10日後には主症状は回復しますが、しばらくは他の感染症に罹ると重症になりやすく、免疫機能が低下した状態は1ヶ月程度つづきます

このように、麻疹の主症状は発熱が約1週間続き、症状も強いため、合併症がなくても入院を要することが少なくなく、回復までには時間のかかる重症な病気といえます。

麻疹(はしか)の合併症って?

麻疹(はしか)は主症状がきついだけでなく、合併症が心配な感染症でもあります。

麻疹の合併症にはさまざまなものがあり、合併症を発症する患者さんは全体の30%にも達するとされます。その約半数が肺炎で、頻度は低いものの脳炎の合併例もあり、特にこの二つの合併症は麻疹による二大死因となり注意が必要です。また、妊婦は重症化しやすく、流産の原因になるとの報告もあります。

その他、中耳炎・クループ症候群(喉頭炎および喉頭気管支炎)・心筋炎や、非常に頻度は少ないものの予後が悪い「亜急性硬化性全脳炎(SSPE)※」という痛ましい合併症もあります。

※感染後に脳にウイルスが持続感染、発症から4~8年後に発症。知能障害や運動障害が徐々に進行し、発症から平均6~9カ月で死の転帰をとる、予後不良疾患。発生頻度は、麻疹罹患者10万例に1人位

麻疹(はしか)にかからないためには?

麻疹ウイルスは上記の通り、空気・飛沫・接触のいずれの感染経路でも感染し、また麻疹ウイルスの直径は非常に小さいためマスクでの予防も難しいです。唯一の予防方法は、ワクチン接種によって麻疹に対する免疫をあらかじめ獲得しておくことです。

1回のワクチン接種により麻疹の免疫ができる割合は約95%です。2006年6月から、より確実に抗体を獲得するために、麻しん・風しんの混合ワクチン(MRワクチン)の2回接種が開始されており、2回接種された方はかなりの確率で抗体を獲得できていると考えられます。年齢的に1回接種だった方は(私もです)、やはり2回接種に比べて抗体獲得の確率は下がってしまいます(時間の経過とともに免疫が減衰することもあり)。心配でしたら病院等で抗体検査を受けて確認する事ができます。※

血中の抗体はワクチン接種後約2週間から出現しますが、麻疹の患者さんと接触して緊急に発症を予防したい場合、接触後72時間以内に予防接種を受けることで発症を防御できる可能性があります。しかしながら100%ではないので、やはり事前に予防接種を受けておくことが重要です。

ただし、妊娠中の方や体力が落ちている人など、ワクチン接種を受けられない場合もありますので、その場合はできるだけ麻疹ウイルスに近づかない生活を心がけてください。

※もっと上の世代の、麻疹ワクチンを受けてない方もいらっしゃいますが、昔はたびたび流行が起きたため、ほとんどの中高年はすでに感染しているものと考えられます。このため、おおむね50歳以上の方は、今後新たに麻疹に感染する心配はないと考えられます。

大人になってかかると重症化しやすい?

はしか(麻疹)の免疫が十分でない場合には、大人も子供と同じように感染する可能性があります。しかも、大人の場合は合併症を起こす頻度が高く、重症化しやすいとされています。その理由は詳しくは分かっていませんが、身体機能が未成熟な子どもに比べて大人の方が免疫システムがしっかり働いてしまうため、結果的に症状が重くなるのではと考えられています。

また、大人はどうしても無理をしがちで、初期症状の発熱や咳など少々の風邪様症状では会社や家事を休めず、結果、無理して動いているうちに症状が悪化してしまうというケースもあるようです。体調管理にはいつも以上に慎重に、早め早めの対応を心がけてください。

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ゴールデンウィークに突入し、人の動きが非常に活発になってきました。しかし同時に、麻疹感染の可能性の増加も心配になってしまい、外出にも心理的に抵抗が出てきているのは正直否定できません(><)。

ですが、きちんとワクチンを打っていれば、必要以上にやみくもに防御&自粛&自宅待機(?)までする必要はないのかなと思います。(妊婦さんや免疫が落ちている方などはぜひ身を守ってください!)

めったやたらとただ「こわいこわい」と恐れるだけではなくて、きちんと敵を知り(?)正しい対応策をとっていかないといけないなと、今回いろいろ調べて思いました。どうか、この騒動が少しでも早く収束しますように。そしていま罹患されている方が、少しでも早く回復されることを心から祈っています。